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細野晴臣「PLEOCENE」

星野源宇多丸『POP VIRUS』解体新書書き起こし https://miyearnzzlabo.com/archives/57400

 

 5月28日にTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で組まれた特集「『POP VIRUS』解体新書」。その中で星野源の楽曲「Pair Dancer」制作時に"効いていた"曲として細野晴臣のアルバム「omni Sight Seeing」(1989年)に収録されている「PLEOCENE」が紹介された。

 

 細野さんの主要なアルバムはすでに一通り聴き終えたつもりでいたけれど、この時に「omni Sight Seeing」を聴き逃していたことに気が付いた。うっかりしていた。細野さんの作品を辿るように聴いていた時期はまだSpotify漬けの生活になる前で、行動範囲内のTSUTAYAにどこにも置いていなかったから聴く機会がないままだった。

  この曲を前述のラジオで知ったので、しばらくは「Pair Dancer」から感じる"温もりのあるアンビエント感"の元ネタとしてばかり聴いていた。しかし改めてビートに注目すると、はねたリズムやブラスっぽい音色によるアクセントがニュージャックスウィングみたいだ。

 

 今年は広くブラックミュージックを勉強していて、ニュージャックスウィングという言葉も比較的最近知った。テディー・ライリーが生み出したとされる80年代後半~90年代前半に流行したビートで、軽快な独特のグルーヴがありとても好きだ。どこまで意図したものかは分からないが、この時代に生まれた特有のビートが「PLEOCENE」にはしっかりと刻まれていると思う。この曲は細野さんが80年代半ばに取り組んでいた「観光音楽」の延長上に生まれた「アンビエント・ニュージャックスウィング」なんじゃないだろうか。 

 

 

 一方「PLEOCENE」の1:53あたりを聴いているとサカナクションの「セプテンバー -東京 version-」が思い浮かんだ。音数を控え、エフェクトをかけたキーボードやパッドを響かせて進行感や空間をつくる構造が似ているし、シェーカーやリムショットなど鳴ってる音色も近いからだろう。

 

 この曲は今年の6月にリリースされたばかりだ。今のトレンドを汲んだ2019年らしい素晴らしいアレンジだと感じていたが、こういう音像も1989年の段階ですでに一度通過していたことを改めて思い知らされる。

 去年、アメリカのレーベルから細野さんの作品5作がアナログでリリースされたが、そのラインナップに「omni Sight Seeing」が選ばれていたのも納得だ。つい先日の8月4日に放送された「Daisy Holiday!」では同アルバムや細野晴臣フィルハーモニー」、Cornelius「Point」は「全然古く感じない」と指摘され、「ある時期から新しいものは出なくなっているのではないか」という話題があがっていた。

 

 

 https://rooftop.cc/news/2019/03/01125515.php

 そんな「omni Sight Seeing」はSpotifyでも聴けるがどういう訳か2曲だけ再生できない。中古でそのうち買うか…なんて考えていたらちょうど再発されるらしい。やはり2019年に聴くべきアルバムなのかもしれない。発売時期は夏と書いてあるけれど詳細のアナウンスはまだない。再発に合わせてサブスクも改めて配信されそうだけど、これを機に買おうかな。

 

 

 

 

 

HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN(2CD)